江の島への近道 湘南モノレール株式会社

第3章|鎌倉時代の終わりを告げた合戦場跡

 ふたたびバス通りへ戻り、湘南町屋駅へ向かって坂を下り、モノレールに沿って南下する。ぐるっと回って南からのアプローチを試みるためである。

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 湘南町屋駅から南へ向かうと、道路の西側に石碑あり。「州崎古戦場跡」碑とある。昭和31年に建てられたものだ。
 鎌倉時代末期、このあたり一帯で合戦があったのだ。

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 鎌倉時代末期の元弘三年(1333年)、新田義貞軍が鎌倉を攻める際、新田軍と鎌倉幕府軍が激突したのが州崎の合戦。
 このあたり、府中や上野国(今の群馬県)と鎌倉を結ぶ鎌倉街道が通っていたのだ。
 府中から鎌倉街道を南下してきた新田軍が西から鎌倉に向かって進軍し、鎌倉幕府軍がここで迎え撃ったのである。
 そして勝利した新田軍は鎌倉街道を東へ進んだが、鎌倉の入口である化粧坂や巨福呂坂を突破できず、稲村ヶ崎から回って鎌倉に攻め入り、鎌倉は陥落したのである。
 近所にもうひとつ戦いにまつわる史跡が残っている。
 1356年に建てられた「泣塔」と呼ばれる約2mの大きな宝篋印塔だ。グラウンドの片隅に、崖ごと残っている。グラウンドの中からしか行けないので注意。

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 フェンスに囲われていて近寄ることはできないが、鎌倉時代からずっとここに立っていたと思うと感慨深いではないか。
 地図に位置関係と、この日に歩いたルートを示して置いたので位置関係を見て欲しい。

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○狐坂にはたどり着けず

 さて古戦場から離れて、江の島道の続きを探しに行く。
 上記地図のC地点へ南から向かうのだ。
 幸い、南からアプローチする古道の道筋はそのまま残っていた。

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 途中、坂の下に素掘りのトンネルを発見。
 素掘りのトンネルや「やぐら」と呼ばれる横穴が多く残されているが、ここもそのひとつなんだろう。
 「鎌倉石」と呼ばれる砂岩で、柔らかくて掘りやすいそうな。

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 この坂を上ると、江の島道の続き(C地点の狐坂)に出るはずである。
 途中でクルマ止めがあり、その奥にはさらなる急坂が現れる。

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 富士塚脇の道は斜面を下り、ここの坂につながっていたに違いない。
 坂の登り口があまりに急なので、iPhoneの傾斜を測るアプリを当ててみたところ、なんと47.1%。急坂過ぎ。
 一番急なところで測ったので全体としてはそこまでではないが、雨の中、足下を滑らせたら下まで転げ落ちそうだ。

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 そして上っていくと......行き止まりでした。
 国土地理院の地図だと、奥に見えるマンションの右手へ坂道がつながっているようだが、現実は非情なり。

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 残念であるが、目の前のマンションの向こうに富士塚があるはずなので、脳内で「富士塚脇からここに辿り着いたんだ」と思うことにして、今来た坂道を戻り、江の島を目指す。
 にしても、傘を片手にここを下るのはこわかったぞ。
 坂下のクルマ止めは車を止めるためじゃなくて、転がり落ちてきた人をそこで止めるために違いない。

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 残念ながら狐坂にはたどり着けなかったが、古い道っぷりや複雑な地形を楽しめたのでよしとしよう。。
 この先どうするか。

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荻窪圭
老舗のデジタル系ライター兼デジカメ評論家にして古道・古地図愛好家、ときどき猫写真家。本業はデジタルカメラやスマホのカメラに関する記事をメインに、各種デジタル機器のレビューや初心者向けのIT関連の解説などを手がける。猫写真家として連載「這いつくばって猫に近づけ」(ascii.jp)を持つほか、古道・古地図愛好家として新潮講座「東京古道散歩」など各種街歩き講座のガイドも務める。古道研究家として「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)出演歴あり。
著書に「東京古道散歩」(中経の文庫)「東京古道探訪」(青幻舎)「古地図と地形図で楽しむ東京の神社」(光文社知恵の森文庫)「デジタル一眼レフが上手くなる本」(翔泳社。共著)など多数。
ブログは「混沌の屋形風呂」https://ogikubokei.blogspot.com
Twitterアカウントは@ogikubokei
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