江の島への近道 湘南モノレール株式会社

(1)湘南モノレールが見える階段を探して

■はじめに

 東京の階段を見て歩いて『東京の階段』という本を上梓したりした関係で、最近は「階段研究家」などと呼ばれている。私がいつも見て歩いている階段は、地形の起伏に関連して造られた階段で、かつ通り抜けられるものだ。ビルや駅にある階段ではなく、また関係者しか使わない住宅やビルの入口に向かう階段は除いている。それでも東京23区内には2,500以上の階段がある。
 今回は「湘南モノレールと階段」というお題を頂戴して書かせて頂くことになったので、沿線にある階段のみどころを記していこうと思うが、周辺の階段をチェックするだけではあまり芸がない。歩いて、見て、印象的な階段を探すのはもちろんだが、せっかくなのでモノレールが見える階段を探してみようと思う。できれば階段とモノレールを一枚の写真に納めたい。

 ただ、今までは東京23区内を中心にしていたので、大船・鎌倉方面の土地勘はなく、界隈の地形の様子もよく知らない。当然、どこに階段があるのかなんてことも知らない。湘南モノレールの存在は知っていたし、懸垂型モノレールというのがかなり魅力的な乗り物なので、いちど乗りたいとは思っていたが、まだ乗ったことはないという状況。

 湘南モノレールが走っているのは、鎌倉市の大船駅から藤沢市内の湘南江の島駅。路線の大半は鎌倉市の市域内で、全長6.6km、全8駅(途中駅は6ヶ所)で所要14分。

 ふだん、都内で階段調査をする時は、4~5時間程度で私鉄沿線一駅の周辺を見て、写真を撮って歩くだけで半日が過ぎてしまう。そこから考えると、全線周辺の階段を全てチェックするには、3回ほど現地へ赴かねばならない感じ。

 都市景観全般が好きなので、建築物や街並み景観、眺望だけでなく、鉄道や橋、電車などの乗り物も気になる。ほぼ初めて訪れる街なので、階段だけでなく寺社や建物、史跡、眺望や街並み景観も見ていきたい。そして、もちろんモノレールにも乗りたいし、それが走る姿も見たい。これは意外に時間が掛かるかもしれない。でもなんだか楽しそうだ。それはひとえにモノレールに乗ったり見たりするきっかけを得たからなのだろう。

■住宅地図で湘南モノレール周辺の階段を探す

 さて、調査範囲をどうするか?空中を行く乗り物としては、鉄道の高架路線が都内にもあるが、遠くから見えるといってもせいぜい路線から200m程度の範囲だろう。

初めて訪れる地域で闇雲に歩いても階段は見つからないだろうし、見落としてしまう可能性が高いので、図書館で住宅地図を1ページずつ眺めて事前に階段を探す。ゼンリンの住宅地図は縮尺が1/1,500で、一軒一軒の建物の名前や外形までが描かれ、狭い道や小さな階段までもが記載されているので、いつも下調べの強力な味方になっている。

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 地図を見る限りでは、この地域は昔の農村と近現代の戸建て住宅団地が混ざったような印象だ。全体的には丘陵地で、川が流れる谷と、高台や斜面にある住宅地や緑地がかなり入り組んでいて、モノレールもそこをアップダウンしながら走っている。
 一般に、丘陵地を造成して造られた新しい住宅団地は、車での移動をかなり前提にしているので、坂道はたくさんあるが、階段はあまりない。もちろん、個々の家の玄関前にはアプローチ階段が必ずといってもよいほどあるが、通り抜けられないので今回は除外。
 一方、戸建て住宅団地の周辺や古い住宅地には、抜け道のような階段があちこちにある。住宅地図で見る限りでは細く長いものが多いようだ。また、昔からの農村エリアには鎌倉古道などの旧街道もある。寺社や庚申塚、道標なども点在していて、どちらかというとそのあたりにある階段の方が、昔の風情を残したりしていて、手作り感があって面白そうだ。
 地図だけでは、湘南モノレールが見える階段のみをピックアップするのは難しいので、地図上で長かったり細かったりして魅力的に思えた階段を含めて、約50ヶ所を選ぶ。
そして2月末の某日、地図を片手に階段巡り(「階段巡礼」という方がかっこいいのかな?)をするべく私は大船へ向かった。

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松本泰生ポートレート
松本泰生
松本泰生(まつもと やすお)

1966年静岡市生まれ。尚美学園大学講師・早稲田大学オープンカレッジ講座講師。
早稲田大学理工学部建築学科卒業 博士(工学・早大)
専攻の都市景観・都市形成史研究を行う傍ら、1990年代から東京の街と階段、坂を訪ね歩く。
2000年代からはカルチャーセンター講座などで、地形や階段を中心としたまちあるきも行っている。
著書は『東京の階段-都市の「異空間」階段の楽しみ方』(日本文芸社)、『凹凸を楽しむ東京坂道図鑑』(洋泉社)、『新宿学』(紀伊國屋書店・共著)など。

ブログは「都市徘徊blog」https://blog.goo.ne.jp/asabata
「東京の階段DB」https://blog.goo.ne.jp/tokyostair
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